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東野圭吾のおすすめ小説【決定版】
読みたい順にランク付けしました

東野圭吾のおすすめ小説

2014年10月、何気なく読んだ「マスカレード・ホテル」で東野圭吾ワールドに遅れ馳せながらどっぷりとはまった当サイト管理人。
それ以来、東野圭吾さんの小説を読み漁り、読んだ冊数は50冊を超えました。
実際に読んだ小説のなかから独断と偏見でおすすめ順にの東野圭吾さんの小説を紹介します。
過去の発刊分をコンプリートするまで時期不定で随時更新します。。

<評価の目安>
評価:星5つ 超おすすめ!★5つはぜひ全部読んで欲しい!
評価:星4つ 東野圭吾ファンでなくてもお勧めできる高評価
評価:星3つ 東野圭吾ファンなら外せない平均点以上。
評価:星2つ イマイチかな?好みが分かれる平均点以下。
評価:星1つ 読んでいて失敗したと思った1冊。
※あくまでも当サイト管理人の独断と偏見による評価です、それでいて、結構辛口だと思います。当然ですが、この評価は何ら効力を持つものではありません。東野圭吾さんの本選びの参考になれば幸いです。

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白夜行(びゃくやこう)

評価:星5つ

白夜行
単行本:1999年08月

白夜行
文庫本:2002年05月

とても小説とは思えない、怖いぐらい人間臭いリアリティ

長編大作なので本の厚みに尻込みする人もいるかもしれませんが、心配無用です、一気に読めます。
そして読んだ後、間違いなく白夜行の続編とも言われる長編大作「幻夜」も読みたくなります。
読んでいる間も読んだ後も爽快感はないですが、人間をひっくり返して、人間の裏側を見ているような表現し難い気持ちになります。その不思議な感覚が「白夜行」の魅力なんですね。
ちなみに「幻夜」を読む前に「白夜行」を読むのをおすすめします。

幻夜(げんや)

評価:星5つ

幻夜 単行本の表紙絵
単行本:2004年01月

幻夜 文庫本の表紙絵
文庫本:2007年03月

束の間、呆然とする衝撃的なエンディング

「幻夜」は「白夜行」の続編とも言われていますが、実際のところはどうなんでしょうか?確かに共通する匂いみたいなものは感じました。
当サイト管理人自身としては「白夜行」よりも熱く、重く、濃厚というのが感想です。
エンディングは何か突き放された感覚でした。何で???という感じでしたね。最後のページを開いたまま、いろいろな想いが駆け巡りました。
「幻夜」が「白夜行」の続編かどうかは分かりませんが、やっぱり「幻夜」は「白夜行」の後に読むのがお勧めかなと思います。

手紙

評価:星5つ

手紙

生き方を考えさせてくれる小説

「手紙」は社会で生きるという意味を改めて考えさせられる本ですね。
そして派手でなくていいから、真っ直ぐ、堅実に生きようと思えてしまう本です。
白夜行や幻夜などの東野圭吾ワールドとは違うが、決して綺麗でも美しくもない、人間臭く現実的な人間模様が描かれているあたりがやっぱり東野圭吾かと思わせます。
読んでいる間も読んだ後もズシーンと考えさせられます。

容疑者Xの献身

評価:星5つ

容疑者Xの献身
単行本:2005年08月

容疑者Xの献身
文庫本:2008年08月

涙なしでは読めない。不器用で純粋な愛情。

容疑者Xの献身」は東野圭吾「ガリレオシリーズ」の第三弾、シリーズ初の長編作品です。
本格ミステリ大賞、直木三十五賞の受賞作品です。2008年に福山雅治さん主演で映画化されています。
「容疑者Xの献身」はトリックや推理、謎解きがメインの魅力でないところがイイですね。
とても静かなんだけど、まっすぐで強烈な献身に圧倒されて、不器用なぐらい純粋で深い愛情に涙します。読み終わって、またもう一度読むだろうなと確信した作品です。

夜明けの街で

評価:星5つ

夜明けの街で
単行本:2007年07月

夜明けの街で
文庫本:2010年07月

不倫、初恋より甘く切ないラブストーリー

夜明けの街で」は 世間の評価はそれほど高くないようですが、当サイトとしては最高レベルの評価をしたい名作です。
おそらく世間の評価が低いのは推理小説としての評価ではないかと思います。個人的には推理小説としてではなく、ラブストーリーとして高く評価してほしい作品ですね。
自他ともに評価の高い「白夜行」や「容疑者Xの献身」などとは全く異なるジャンルで、こんな東野圭吾の名作に出会えたことを読みながら感謝したほどでした。
読んでいる途中に読み終わったら、時間をあけて、またもう一度読むだろうなと感じた小説でした。

不覚にも秋葉に恋をする

正直なところ、小説に登場する秋葉に惹かれました。不覚にも恋してしまいました。
スキー場のゲレンデで渡部と秋葉が出会うシーンでの秋葉の健気さに40歳過ぎの中年オヤジがキュンときました。秋葉を抱きしめたくなりました。不倫をする器量のないオヤジが架空の世界でキュンとできる名作です。
余談ですがサザンオールスターズの「LOVE AFFAIR〜秘密のデート〜」に感化された作品と知り、改めて「LOVE AFFAIR〜秘密のデート〜」を聴きかえしました。「夜明けの街で」のシーンとオーバーラップする歌詞があり、もともと好きな名曲でしたが、「LOVE AFFAIR〜秘密のデート〜」への思い入れがより深まりました。

悪意

評価:星5つ

悪意
単行本 :1996年09月
ノベルス:2000年01月
文庫本 :2001年01月

焦点は、まさにその犯罪動機

小説のタイトルでもある「悪意」を強烈に意識させられる内容です。
犯人捜しではなく犯罪動機にフォーカスしたストーリー展開が面白いですね。
登場人物からの視点でストーリーが語られ、その視点が入れ替わる感じもとても新鮮な感じがしました。
白夜行や幻夜での東野圭吾に通じる魅力が感じられた作品です。ナミヤ雑貨店の奇蹟よりも白夜行や幻夜が好きという方には特におすすめの一作ですね。

ゲームの名は誘拐

評価:星5つ

ゲームの名は誘拐
単行本:2002年11月

ゲームの名は誘拐
文庫本:2005年06月

奇想天外、どんでん返し、意外性が面白い

スピード感のあるストーリーにくわえて、意外性のある展開でとにかく面白く読めました。
正直、2002年刊行という比較的古い作品であることと「ゲームの名は誘拐」という題名に加えて、そのキャッチフレーズ「ゲームをやってみないか、誘拐ゲームだ。」からの持つ今一つ面白くなさそうなイメージから敬遠していたのですが、鮮やかにその予想を裏切る面白さでした。
間違いなく東野圭吾さんの作品のなかでマストで読んで欲しい作品(★5つ)のひとつです。

変身

評価:星5つ

変身
単行本:1991年01月

変身
文庫本:1994年06月

先が読めているのに面白い!

変身」東野圭吾いわく「唯一ひらめきがあった作品
「変身」「分身」「パラレルワールド・ラブストーリー」を合わせて「東野”私”三部作」と命名されています。
読み始めてすぐに話の展開が見えた。もしそんな簡単に話の展開が予想できるような小説なら低評価確定かなと思いつつ、読み進めると予想通りの話の展開に。でも面白い!
予想通りの話の展開なのに面白い。別の言い方をすると、違和感のないストーリー展開で面白く仕上がっているとも言えるのではないかと思います。
東野圭吾のイマイチ作品にありがちなトーンダウン気味なエンディングではなく、最期までストーリーの熱を維持しているところもおすすめのポイントです。
読み始めは低評価確定か?と思った作品が思わぬ高評価につながった珍しいパターンの作品ですね。

殺人の門

評価:星5つ

殺人の門 単行本の表紙絵
単行本:2003年08月

殺人の門 文庫本の表紙絵
文庫本:2006年05月

ずっとイライラしっぱなし、でも先を読まずにはいられない

東野圭吾さんの名作「白夜行」や「幻夜」と共通する印象を受ける作品です。
主人公のとにかくうまくいかない人生に何とも言えないリアリティがあります。倉持修が登場するたびにイライラしてむかついて嫌になるけど、それでも先が気になって読まずにはいらず、どんどん読んでしまう。変な魅力のある小説でした。
おそらく作品が刊行された時期からみても、バブル時代や豊田商事事件を参考にしている部分があり、その頃を知っている読者にとってはよりいっそうリアリティを持ちやすいと思います。

さまよう刃

評価:星4つ

さまよう刃 単行本の表紙絵
単行本:2004年12月

さまよう刃 文庫本の表紙絵
文庫本:2008年05月

怒りと涙が止まらない、少年犯罪に一石を投じる社会派作品

さまよう刃(やいば)は2004年発行の作品で、150万部を超すベストセラーです。
2009年に寺尾聡主演で映画化され、2014年には韓国で映画化されています。
話の始まりからどっぷりと引き込まれました。少し猥褻な表現が多いですが、伝えたいことのためには必要かも。
ストーリーのピークが前半から中盤にあったような感じがします。長峰重樹の手紙は泣けました。。。なのでエンディングは一点を除けば、少し尻すぼみな印象ですね。最後は「えっ?そうなの?」という驚きが。

マスカレード・ホテル

評価:星4つ

マスカレード・ホテル
単行本:2011年09月
文庫本:2014年07月

マスカレード・ホテルは超高級ホテルを舞台とした推理小説です。
あっ!と驚く結末を読んだ瞬間に、それまでの「点」で起きていた出来事が「線」で結ばれる気持ち良さがあります。
マスカレード・イブを読む前に読んでおきたい1冊ですね。

真夏の方程式

評価:星4つ

真夏の方程式
単行本:2011年06月

真夏の方程式
文庫本:2013年05月

真夏の方程式」は東野圭吾「ガリレオシリーズ」の第6弾。「容疑者Xの献身」「聖女の救済」に続く、シリーズ3作目の長編作品です。
キャッチフレーズは「これは事故か、殺人か。湯川が気づいてしまった真相とは
やっぱり東野圭吾さんの小説は長編作品のほうが読み応えがあり、どっぷり引き込まれます。「容疑者Xの献身」とオーバーラップしたのは小生だけでしょうか。
夏の季節の設定なんですが、愛情、思いやり、献身がとても静かに冷たく伝わってくるコントラストが印象的でした。
後半の部分は出張中の新幹線の中で読んでいたのですが、不覚にも涙しそうになりました。

東野圭吾のおすすめ小説

レイクサイド

評価:星4つ

レイクサイド
単行本:2002年03月

レイクサイド
文庫本:2006年02月

犯人は誰?巧妙な煙幕と謎解き!

有名中学受験のため夏休みを利用して湖畔で合宿する4組の家族。読み始め、なんだこの家族?変な新興宗教?気持ち悪いぐらい普通じゃない違和感があったが、それがうまく煙幕になって、結末が見えないまま一気に読めました。
最後まで犯人が分からなかった当サイト管理人は、巧妙に緻密に綿密に計算されたストーリーと感じました。
逆に読んている途中に結末が見えてしまった、犯人が分かった人には平凡な作品と感じてしまうかもしれません。

俺たちの魂はこの湖畔から離れられない

最後に家族愛をテーマに持ってくるところも絶妙ですね。安っぽいハッピーエンドじゃないところも、さすが東野圭吾って感じで好きです。
だけど家族愛をテーマに持ってきているのに泣けない!全然、泣けない。緻密にうまく計算された作品だけにその点は残念です。

聖女の救済

評価:星4つ

聖女の救済
単行本:2008年10月
文庫本:2012年04月

聖女の救済ガリレオシリーズの第5弾にあたる作品で、「容疑者Xの献身」に続くシリーズ2作目の長編作品です。
ストーリー展開、トリックともに、とても面白い作品です。読み終わる頃に「あぁだから聖女の救済なんだ」と思わせるところが「悪意」と似ているかなと思いました。
ガリレオシリーズのなかでは、容疑者Xの献身に次ぐ、おすすめ作品です。

ガリレオの苦悩

評価:星4つ

ガリレオの苦悩
単行本:2008年10月
文庫本:2010年10月

「ガリレオの苦悩」はガリレオシリーズの第4作目で、5つの推理短編集です。この作品からテレビドラマ「ガリレオ」の企画から誕生したキャラクターである内海薫が登場します。
短編集なので、「容疑者Xの献身」のようにどっぷりとハマった感じはないですが、かっぱえびせんのように読みだしたら止まらず、サクサクと次々と読み終えていくスピード感が堪りません。
特に「操縦る(あやつる)」と「攪乱す(みだす)」は短編なのにかなり読み応えがあり、「操縦る(あやつる)」は不覚にも涙しました

赤い指

評価:星4つ

赤い指
単行本:2006年07月

赤い指
文庫本:2009年08月

赤い指」は加賀恭一郎シリーズの第7作目で、ガリレオシリーズ「容疑者Xの献身」で直木賞を受賞後に発表した書き下ろし長編小説でもあります。
家族の抱えるさまざまな問題をテーマした作品で、話の始まりから結末まで一気に読み切りました。
登場する前原家の面々がドロドロとリアルに描かれていて、実際に存在しそうなリアリティ抜群の家族がいい感じです。
最後は思わず「えっ?」と言ってしまいそうなぐらい、驚きの結末でした。ただし終盤のお涙頂戴という大事なシーンで今一つ押しが弱い感じがしたのが残念でしたね。
加賀恭一郎シリーズの背景を知らなくても、素直に興味深く読めて、改めて家族のあり方、人間の弱さを考えさせられる、おすすめの作品です。

虚ろな十字架

評価:星4つ

虚ろな十字架
単行本:2014年4月

虚ろな十字架
文庫本:2015年4月

死刑制度について考えさせられる重い作品

当サイト管理人自身、幸いにも身の回りに刑事罰に関わる人物がいないこともあり、正直なところ、刑事罰についてさえもあまり深く考えたことがありませんでした。

殺人犯を何年刑務所に入れておけば、真人間になると誰が断言できるのか?!

ましてや死刑制度についてはニュースで耳にする程度であまりにもリアリティがなかったのですが、「虚ろな十字架」は死刑制度について深く考えさせられる作品でした。
またそんな重厚なテーマのストーリーでありながら、点と点がつぎつぎと繋がっていく展開のお陰でどんどんと読み進められます。
結局のところ答えはないのですが、読み終わった後も考えさせられる余韻が残ります。軽い感じではなく、しっかりと構えて読み始めてほしい作品です。

被害者の家族という立場でも同じことが言えるのか?冷静に判断できるのか?

使命と魂のリミット

評価:星4つ

使命と魂のリミット
単行本:2006年12月

使命と魂のリミット
文庫本:2010年2月

使命と魂のリミット
文庫本:2010年2月

医療ミス・企業倫理がテーマの人間ドラマ

使命と魂のリミット」は医療ミスと企業倫理、異なる舞台の2つのテーマがうまく絡み合う人間ドラマです。
登場人物がみんな良い人すぎるのには、東野圭吾小説らしくなくて少し戸惑いましたが、最初から最後まで飽きさせずどんどん読めます。
冷静沈着で頭が良さそうなヒロインの氷室夕紀よりも、すこし控えめで献身的な看護師の真瀬望に個人的には惹かれました。
小説を読んでいるときから話の情景が浮かびやすくドラマ化に向いている小説という印象でしたが、やはり2011年にNHKでテレビドラマ化されています。
氷室夕紀=石原さとみ、真瀬望=倉科カナ、どちらのキャスティングも小説からは少しイメージと合わないですが、映像になるとイメージが変わるのかも・・・機会があれば見てみたいなと思います。

パラレルワールド・ラブストーリー

評価:星3つ

パラレルワールド・ラブストーリー
単行本:1995年2月
文庫本:1998年3月
※画像は文庫本

気になるけど、読み進めるのが怖くなる

パラレルワールド・ラブストーリー」・・・ラブストーリー、たしかに話の設定はラブストーリーだけど、ラブストーリー・ホラーサスペンスというほうが相応しい気がした。
愛情、嫉妬、友情、三角関係、葛藤、プライド、さまざまな要素がドロドロと混ざり合っていく、美しさ、爽やかさが一切ないラブストーリー。誰に肩入れしているのか分からないが、読み進めるに従い、怖くなる感じがありました。
過去と現在が並行(パラレル)して進んでいき、過去と現在が絶妙に繋がっていく話の展開が上手い。
でも結末がまったく理解不可能。「白夜行」で感じたモヤモヤ感とは違う、気分の悪いモヤモヤ感が残る後味でした。結末までがすごくいい感じだっただけにかなり残念でした。

どちらかが彼女を殺した

評価:星3つ

どちらかが彼女を殺した
ノベルス:1996年06月

どちらかが彼女を殺した
文庫本:1999年05月

犯人は男か女か?究極の本格推理

どちらかが彼女を殺した」は加賀恭一郎シリーズの第3作です。
話の始まりから最後まで一気に読んでしまいました。
ネタバレになってしまうのであまり多くは語れませんが序盤から終盤まで、とにかく面白いです。袋とじによる謎解きもかなり新鮮です。
ただ主人公「加賀恭一郎」以外の登場人物もあまりにも冷静すぎるということに現実とのギャップを感じました。加賀恭一郎が冷静沈着なのは分かるのですが。
今一つ1つのシリーズとしてはバラバラ感を感じる加賀恭一郎シリーズと一貫した統一感のあるガリレオシリーズ。
同じ作者の作品なんですが、加賀恭一郎シリーズとガリレオシリーズとの間にはこんな違いを感じます。

東野圭吾のおすすめ小説

プラチナデータ

評価:星3つ

プラチナデータ
単行本:2010年07月

プラチナデータ
文庫本:2012年07月

あり得そうな近未来感がちょうどいいリアリティを生む作品

国民の遺伝子情報から犯人を特定する、検挙率100%のDNA捜査システム。
あり得そうな近未来の捜査システムに、ほどよい適度なリアリティがあり、実際にこんなシステムがあったら・・・と自分の現実世界に当てはめて、序盤から引き込まれてドキドキしながら読み進められた。
それだけに、話が進むわけでもなく新たな展開が生まれるわけでもない、ダラダラとした中盤の中だるみは残念でした。
小説の題材がすごくいいので、500頁の話にせずに300頁ぐらいの話にまとめて、「まだもうちょっと読みたかった」「続編を読みたい」「シリーズ化して欲しい」という感じになった方が良かったんじゃないのと思ってしまいました。

虹を操る少年

評価:星3つ

虹を操る少年
単行本:1994年08月

虹を操る少年
文庫本:1997年07月

悩める若者が光によるコミュニケーションに感応する

虹を操る少年は、人が放つ光でコミュニケーションをとるという近未来的なテーマを題材としたSF小説です。
謎解きの要素はほぼありませんでした。
光でコミュニケーションをとるという点に現代のSNSに通じるものをすこし感じました。20年以上も前の作品なので当然のことながら作者はそんなことを意識はしていませんが、これが東野圭吾さんの才能かなと思いました。
数多くの若者が魅せられる光楽(光による演奏)を商業利用する大人が登場するところなど、とてもリアリティが感じられて面白く読み進められる一方で、登場人物の描き方が上っ面で薄っぺらく感情移入できないので、ストーリーが上滑りしているように思いました。
エンディングも良いように言えば余韻を残す結末と言えなくもないですが、個人的にはスッキリしないモヤモヤした終わり方です。「えっ?これで終わり?」というのが正直なところでした。

放課後

評価:星3つ

放課後
単行本:1985年09月
文庫本:1988年07月

放課後東野圭吾の作家デビュー作です。
第31回江戸川乱歩賞を受賞しました。
1985年9月に単行本、1988年7月に文庫本が刊行されました。30年前の作品ですが、意外にもそれほど古さを感じさせません。
デビュー作としてはかなり完成度が高いですね。さすが東野圭吾といった感じです。ただ文章の間に差し込まれる解説の挿絵はちょっと・・・?です。小説なんだから文章だけで描いてほしい思います。
デビュー作かつ面白いのでおすすめ作品です。序盤から中盤にかけての引き込まれ感は白夜行や幻夜に通じるものがありましたが、やっぱり白夜行や幻夜に比べる読み終わったあとの重厚な後味の悪さがなく、ちょっと???という少し不快な後味の悪さでした。
最初は★4つと思ったのですが、読み終わりの感覚と解説の挿絵がイマイチだったので、★3つにしました。

マスカレード・イブ

評価:星3つ

マスカレード・イブ
文庫本:2014年08月

マスカレード・イブは、マスカレード・ホテルに繋がる「前夜」のストーリー。
短編集なので爽快にテンポよく読めるが、マスカレード・ホテルほどの強く、長い引き込まれ感がないのが残念。でもシンプルに面白い推理小説です。
読むなら、マスカレード・ホテルを読んだ後がおすすめ。

嘘をもうひとつだけ

評価:星3つ

嘘をもうひとつだけ
単行本:2000年04月
文庫本:2003年02月

「嘘をもうひとつだけ」は、本のタイトルでもある「嘘をもうひとつだけ」という短編作品を含む5つの短編で構成された短編推理小説です。「嘘」が共通のテーマのストーリーになっています。また加賀恭一郎シリーズの第6作でもあります。
いかにもその辺に居そうな刑事「加賀恭一郎」がどの話にも登場します。どれも東野圭吾らしい、とにかく人間臭い心理が描かれた作品です。短編ということもあり深くハマった感じはありませんが、共感できる部分もありつつサクッと読み終えられます。ただし読み終えた後の爽やかさはあまりありません。

白銀ジャック

評価:星3つ

疾風ロンド
単行本:2011年11月

疾風ロンド
文庫本:2010年10月

2話完結の連続サスペンスドラマ?

通常の小説は雑誌や新聞に連載されたものから単行本化して、そのあと3年〜数年をおいて文庫本化されるのが一般的な流れです。
それに対して「白銀ジャック」は実業之日本社の「月刊ジェイ・ノベル」に連載された(2008年10月号〜2010年9月号)のち2010年10月に「いきなり文庫」化されました。そしてその約1年後、単行本化されました。
そんな出版業界の常識を打ち破った作品だけに、いやがうえにも期待が高まりましたが、小説の内容には残念ながらそれほどのインパクトはありませんでした。
発売から1ヶ月ちょっとで100万部を突破したヒット作なので確かに面白いです。特に結末なんて「えっ!?」「なんで!?」が連発しましたが、どうもコジンマリ感と違和感が半端ない気がしました。特に老夫婦の正体はそりゃないだろうって感じです。
壮大なスキー場を舞台にした長編サスペンス小説にもかかわらず、ストーリー展開は2話ぐらいでコンパクトに完結する連続サスペンスドラマといった感じです。

天空の蜂

評価:星3つ

天空の蜂
単行本:1995年11月

天空の蜂
文庫本:1998年11月

天空の蜂
新装版単行本:
2015年06月

天空の蜂」は巨大ヘリを用いた原発テロをテーマとした長編クライシスサスペンス小説です。2015年6月に単行本新装版が刊行され、2015年9月には江口洋介主演で映画化されています。
原子力発電所の必要性、安全性を改めて考え直すという意味では、2011年(平成23年)3月11日(金)に発生した東日本大震災を思い出させる作品だと思います。
とても面白いストーリー展開だと思いましたが、登場人物の人間臭さがなく、どこかキレイな作り話的な感じがして、読んでいて素直にワクワク、ドキドキできませんでした。

予知夢

評価:星3つ

予知夢
単行本:2000年06月
文庫本:2003年08月

予知夢ガリレオシリーズの第2弾にあたる作品で、5つの短編推理小説集です。
探偵ガリレオ」に続く、物理学者湯川学シリーズの第2作目です。
面白いか?面白くないか?と問われれば「面白い」と答えるのだが、良くも悪くも印象に残りません。5つの短編はどれもあっさりし過ぎていて、サクッと読めてしまいます。
あえて言うなら、最後の「予知る(しる)」の読後感がハッと感じで、東野圭吾という香りが少しします。
同じガリレオシリーズでも「容疑者Xの献身」のような長編作品のドップリとした読み応えや読み終わった後のコッテリ感が好きに方は、少し物足りなさを感じるかもしれません。

探偵ガリレオ

評価:星3つ

探偵ガリレオ

「探偵ガリレオ」はガリレオシリーズの第一弾で短編集です。
ひとつひとつの話に理化学的なトリックがあり、まとまったストーリーなのですが、何か上手くオチを付けようという作為的な感じが否めず、好きにはなれませんでした。
作品の良し悪しに関係なく、「探偵ガリレオ」は東野圭吾のガリレオシリーズを読むためには避けては通れない作品であることには間違いはないと思います。

宿命

評価:星3つ

宿命

エンディングはかなり意外性があり、なるほどと思わせるものがありました。
エンディングへ向かって惹きつけられて、読み終わったときの充実感はほどほどにありますが、それに対してメインストーリーであるはずの事件そのものが展開に乏しく面白味がないのが残念な点です。
ストーリー中盤の気だるさと人物設定のちょっとした違和感を除けば、なかなか面白い作品かなと思います。(ちょっと辛口すぎかもしれません。。)

分身

評価:星3つ

分身
単行本:1993年09月

分身
文庫本:1996年08月

1993年に刊行された東野圭吾の「分身」 2012年には長澤まさみ主演でテレビドラマ化されています。
実際にはなさそうで、ありえそうな話の設定がとても面白い!ただし話の展開がいかにもという感じで作り話染みていて、少しリアリティが欠けるところが残念でした。
物語終盤、残りのページ数で「あぁ尻すぼみなエンディングになりそう・・・」と感じ、本当にそうなったのが一番残念でした。話の設定が絶妙なだけに余計にエンディングは残念に感じました。

美しき凶器

評価:星3つ

美しき凶器
単行本:1997年03月

美しき凶器」は東野圭吾作品のなかで異色な感じがします。
まずストーリーテーマが「スポーツ界での薬物使用(ドーピング)」にまつわる殺人事件であること。
東野圭吾作品は身近にありそうなテーマが多いので「スポーツ界、薬物使用、ドーピング」というキーワードには、親近感がなく、距離感を感じました。
さらに話の鍵を握る毒グモ(タランチュラ)がなぜ復讐に走るのか、何からくる殺意なのかが何だかよく分からない。このあたりを丁寧に扱わないところが東野圭吾作品らしくない感じがしました。
とはいえ、読み始めこそ戸惑いましたが、さすが東野圭吾作品。中盤からエンディングにかけてはあっという間に読み終わっていました。
「東野圭吾の作品である」ということを意識しなければ、最後まで気が抜けない面白い作品です。

麒麟の翼

評価:星3つ

麒麟の翼

麒麟の翼は、加賀恭一郎シリーズの第9作目ですね。2012年に阿部寛主演で映画化もされた人気のある作品です。
さすが映画化されただけあってストーリーもエンディングも面白いのですが、内容の割に全体として重々しさと影がないというのが気になります。
そのせいもあってか個人的には深みとリアリティに物足りなさを感じました。

私が彼を殺した

評価:星3つ

私が彼を殺した
ノベルス:1999年02月

私が彼を殺した
文庫本:2002年03月

私が彼を殺した」は加賀恭一郎シリーズの第5作目
登場人物の視点からストーリーが描かれ、その視点が入れ替わりながら話が展開していくのはなかなかイイかなと思います。
どちらかが彼女を殺した」も同様に読み終わって「犯人はこいつか!」「犯人は誰?」とスッキリするような、しないような感じは賛否が分かれるところかもしれませんが個人的には好きです。
準主役的な存在の神林美和子のパーソナリティ(個性)が最後までイマイチ分からなかったのと、加賀恭一郎シリーズにも関わらず加賀恭一郎がストーリーに大きな存在感を残さないで話が終わってしまったのは残念な点です。
残念な点も多いですが、総合的には読んで損はなし!★3つのおすすめレベルです。

仮面山荘殺人事件

評価:星3つ

仮面山荘殺人事件
単行本:1990年12月

仮面山荘殺人事件
文庫本:1995年03月

スカッとだまされてみませんか

というキャッチコピーの割に読んでる途中で結末が何となく分かってしまうという残念なストーリー展開でした。
強盗が立て籠もる最中に別の殺人事件が発生するという展開は斬新でしたが、強盗に入られているにもかかわらずイマイチ緊迫感や緊張感が伝わってこない被害者には違和感がありました。
ただ結末が薄々分かってしまってからも、結末を確認したいという気持ちを維持しつつ楽しみに読めました
ちょっと偉そうですが、チープなトリックなのに、それなりに面白く読ませる、さすが東野圭吾作品です。

夢幻花

評価:星3つ

夢幻花
単行本:2013年04月

夢幻花
文庫本:2016年04月

序盤、強烈に惹き込まれた魅力的な作品

ストーリー序盤、蒼太少年と孝美との出会い、秋山周治と秋山梨乃とのやり取りに強烈に惹き込まれました。ワクワクしながら序盤、中盤へとぐいぐいと読み進めていきました。
しかしながら最後の種明かしにアッと驚く衝撃や爽快感がなく、ちょっと強引で作為的な印象が残りました。

こんなに時間をかけ、考えた作品は他にない

というキャッチコピーに相応しいインパクトのある種明かしを期待してしまった。序盤、中盤と魅力的な作品だけに、最後に小説を収束させるためのご都合主義な終盤の種明かしがやはり残念でした。

禁断の魔術

評価:星3つ

禁断の魔術
(単行本:2012年10月)
文庫本:2015年06月

ここで紹介するのは文庫本「禁断の魔術」です。
文庫本「禁断の魔術」は、2012年10月に刊行された単行本「禁断の魔術 ガリレオ8」(推理短編集)に納められていた1作品「猛射つ(うつ)」 を大幅に加筆・改稿した作品です。
ちなみに単行本「禁断の魔術 ガリレオ8」に納められていた、ほかの3作品は文庫本「虚像の道化師」に納められています。
長編作品なので読み応えもそこそこあるのですが、どうも話の長さの割に重厚感がないというのが正直な感想です。終盤も東野圭吾にしては、リアリティがない、ちょっと「?」なドラマ仕立てな感じ
ドロッとした人間臭さとちょっぴりの美徳が東野圭吾小説の王道と思っている管理人としては、少しキレイにまとめすぎたストーリーに共感できませんでした。

パラドックス13

評価:星3つ

仮面山荘殺人事件
単行本:2009年04月

仮面山荘殺人事件
文庫本:2014年05月

序盤、中盤こそ面白かったが、あまりにもあっけないお粗末な結末に・・・

小説の始まりから「面白そう!」と引き込まれました。
パラレルワールドにはまり込んてしまった登場人物の様々な思いやエゴが入り乱れた人間臭い話の展開が魅力的で、正にハラハラ、ドキドキという感じで、どんどんと読み進めました。・・・が!結末は???という尻すぼみなエンディングに、少し残念な気持ちになりました。
パラレルワールドというSFではよくある面白い題材に、東野圭吾さんが得意の大どんでん返しな結末が用意されていると思って、楽しみに読んでいたのですが、これはちょっとお粗末な結末でした。東野圭吾作品という期待感がマイナス要因になってしまったかもしれません。

これからの13秒間は、何も起こしてはならない。この世界の謎を解く鍵は、

数学的矛盾(パラドックス)にある。・・・なんてキャッチコピーの割に、数学的矛盾(パラドックス)が話の鍵(キー)になっていないというのも残念でした。変にパラドックスに拘らず割り切って、完全に東野圭吾さんが得意のドロっとした人間臭い物語にしてしまったほうが良かったのでは、と思いました。

虚像の道化師

評価:星3つ

虚像の道化師
(単行本:2012年08月)
文庫本:2015年03月

文庫本「虚像の道化師」はガリレオシリーズの第7弾で、ガリレオシリーズでは4作目の推理短編集になります。
2015年3月に発刊された文庫本「虚像の道化師」には、単行本「虚像の道化師 ガリレオ7」の短編小説4作品にくわえて、単行本「禁断の魔術 ガリレオ8」の短編3作品をあわせて、計7作の短編集になっています。
「2冊の単行本が1冊の文庫本に!」というのもウリになっているようです。
さすがに人気の高いガリレオシリーズだけあって、一作一作それなりに面白い内容ですが、同じ短編集である「予知夢」の「予知る(しる)」のように読後ハッとさせられたり、「ガリレオの苦悩」の「操縦る(あやつる)」のように思わず涙したというような印象的な作品がありませんでした。
短編集なので全ての作品にインパクトを求めませんが、単行本2冊分をあわせた作品集で1作品もインパクトがないというのは、ガリレオシリーズもさすがにピークを過ぎたのかな?!という印象です。

怪しい人びと

評価:星3つ

怪しい人びと
単行本:1994年2月

怪しい人びと
文庫本:1998年6月

怪しい人びと
文庫本:1998年6月

サクッと読める軽〜い推理短編集

怪しい人びと」はサクッと軽〜い感じで読める7つの推理小説が1冊になった短編集です。
7つの話の間には何の関係性もありません。本の題名である「怪しい人びと」という共通性があるストーリーかと思いきや、共通性は感じませんでした。そもそも推理小説である以上、怪しい人がいるのは当たり前なので。
ストーリー展開に非日常性を感じたり、結末に違和感があったり、7つのストーリーのクオリティもそれほど高いとは言い難いですが、とにかくサクッと軽く読める推理小説です。

ダイイング・アイ

評価:星3つ

ダイイング・アイ
単行本:2007年11月

ダイイング・アイ
文庫本:2011年1月

最初に感じた違和感がどんどん大きく・・・

ダイイング・アイ
交通事故のリアルな描写から被害者の復讐劇へと続く、話の滑り出しはとても面白く引き込まれました。しかしベンツとフェラーリが一緒に交通事故を起こすという設定にどうも違和感を感じました。
読み進めるうちにホラーなのか、オカルトなのか、SFサスペンスなのか、よく分からないストーリー設定に対して、最初に感じた違和感が少しずつ大きくなっていきました。
どうなるんだろうと期待させるターニングポイントはいくつかありましたが、登場人物の行動について動機や必然性が弱く、なぜそんなことをするのか理解に苦しむという点では共感しづらい作品でした。
コンプリートを目指している東野圭吾ファンとして最後まで読み切りましたが、満足度としてはフツーの作品でした。

今度の東野圭吾は、悪いぞ。

許さない、恨み抜いてやる。しかし、加害者は忘れていた。東野圭吾だから書きえた「悪い奴ら」

11文字の殺人

評価:星3つ

11文字の殺人
ノベルス:1987年12月
文庫本:1990年12月

ミステリーとして純粋に面白いけど、登場人物の行動モチベーションに疑問

主人公は女流ミステリー作家の「あたし」。最後まで名前は明かされない(そこはストーリーの焦点ではないが)。「誰が犯人だろう?」「犯行動機は?」と思いドキドキしながら最後まで読み切れました。
ただ行動力のある主人公の「あたし」がなぜそこまで真相究明に勇気をもって突き進めるのかということに疑問を感じずにはいられませんでした。
それとあまりにも人が簡単に殺され過ぎ、小説のなかのフィクションとはいえ連続殺人と言うにはかなり雑な感じがした。読んでいて「この人、殺されそうだな」と思った人が殺されるとちょっと稚拙なストーリーだと思ってしまう。
1987年12月刊行の作品ということもあり、クルーザーやスポーツジムなどバブル景気を感じさせるキーワードやシチュエーションが随所に見られるので、リアルタイムで読んでいない人にとっては違和感のあるストーリー設定に思うかもしれない。

ウインクで乾杯

評価:星3つ

香子の夢―コンパニオン殺人事件
ノン・ノベル(新書)版:
1988年10月

ウインクで乾杯
文庫本:1992年5月

チープな2時間サスペンス・テレビドラマ

1988年に「香子の夢―コンパニオン殺人事件」の題名で刊行されたノン・ノベル(新書)版が、1992年に「ウインクで乾杯」と改題されて文庫本として刊行されました。
とにかくさらっと読めます。
内容もチープだと感じた感覚を難しく考えずに軽快に読める感覚と解釈すれば、面白く軽〜い感じで読めます。
トリックの種明しに驚きがなく、逆に不自然さを感じてしまうぐらいなので、推理小説として読むと期待外れです。あくまでも娯楽小説として読むのがおすすめです。そうすれば気楽な感じで肩を凝らずに読めます。
また1988年に書かれた作品なので、1980年代後半の日本の安定成長期のバブル景気を感じさせる描写がとても多く、今読むと時代設定に違和感を感じるかも。これは、この時期の東野圭吾さんの小説に多く見られる傾向です。

ナミヤ雑貨店の奇蹟

評価:星3つ

ナミヤ雑貨店の奇蹟

人気俳優を起用した映画化など、何かと世間の評判は高いナミヤ雑貨店の奇蹟」ですが、いまいち入り込めないストーリー設定でした。
登場する人たちがみんな善人に感じられるのが。。うーん、なんかリアリティに物足りなさを・・・と感じてしまいます。
白夜行や幻夜の作者が書いたとは思えない作品でした。現実の影に嫌気が刺して温かストーリーを描いてみたのでしょうか。
賛否両論分かれる作品だと思います。
管理人自身はハマり込めないものの、内容は面白くて、最後まで楽しく読み切れたので★3つとしました。

むかし僕が死んだ家

評価:星3つ

むかし僕が死んだ家
単行本:1994年05月

むかし僕が死んだ家
文庫本:1997年05月

どうしても無理矢理な感じが否めない

面白かった?、面白くなかった?と問われれば、普通に面白く読めたと答えるかもしれないが、話の鍵を握る「家」がどうも無理矢理な感じがして日常離れした違和感がある。
それほど多くはない登場人物がとる行動に必然性がないのも気になる。東野圭吾作品はほとんどが面白く読める反面、読み終わった後の当たり外れが大きい。
この作品は面白く読めて、読み終わった後に外れと感じ、そして最後に「僕」って誰?という疑問が残った作品でした。
最初にこの作品を読んでいたら、東野圭吾にはまることはなかっただろうという普通の作品でした。

ある閉ざされた雪の山荘で

評価:星2つ

ある閉ざされた雪の山荘で
単行本:1992年03月

ある閉ざされた雪の山荘で
文庫本:1996年01月

緊張感のないストーリー展開にうんざり

最初の頭出しは「おっ!面白そう」と思ったのも束の間、それは本当の頭出しだけで、そのあとはダラダラと緊張感のないストーリーが展開されました。実際に殺人が行なわれたのか、どうか分からない状況のなか、登場人物はフワッとしたテンションのまま、話が進んでいく感じでした。
読み進める途中でこの人が犯人だなと思った人が結局、本当に犯人というお粗末な設定にげんなりしました。そしてあまりにもショボ過ぎるからくりにさらに残念な気持ちになりました。
「白夜行」や「幻夜」「容疑者Xの献身」といった知名度の高い名作はほぼ読み切ってしまっているので、隠れた名作に出会えることができず、ここのところ、東野圭吾作品では外れが続いています。

疾風ロンド

評価:星2つ

疾風ロンド
単行本:2014年12月

疾風ロンド
文庫本:2013年11月

サスペンスドラマのようなライトな感じ

疾風ロンド」はスキー場を舞台とした長編サスペンスです。
話の序盤は期待感が膨らみましたが、結果としてはかなりペラペラの軽〜いサスペンスドラマという感じでした。
面白いか、面白くないかと言えば、面白い部類に入るのかもしれませんが、登場人物の行動に必然性、背景がないので、グッと迫ってくる緊張感がなく、とにかく薄っぺらいストーリー展開です。
東野圭吾作品として、これはこれでいいのかもしれませんが、「白夜行(びゃくやこう)」と書いた作家が書いた作品とはとてもじゃないけど思えないライトな感じです。

新参者

評価:星2つ

新参者
単行本:2009年09月

新参者
文庫本:2013年08月

新参者」は加賀恭一郎シリーズの第8作目にあたる作品です。
第一章から第九章まで9つの短編集がつながって、1つの推理小説になっています。ひとつひとつが短編として成立させるためなのか、分かりませんが、一話一話で結論染みた終わり方をするので、話の展開が軽く感じられました。さらにメインテーマである事件解決に焦点が定まらないために結局のところ何の話だったのか分かり辛かったです。
「新参者は面白い?面白くない?」と聞かれれば、「よく分からない。加賀恭一郎シリーズとして読んで損はない。」という感じでしょうか。小生としては、★2.4個。四捨五入して★2つとしました。

秘密

評価:星2つ

秘密

最後まで読んだが、設定・ストーリーがどうも現実離れしていて、どうも入り込めなかったというのが感想です。
読み終わった後も東野圭吾は何を伝えたかったのだろう?という疑問の残る1冊です。
読んでいて失敗したとは思わなかったので、評価は★2つですが、正直なところ★1.5という感じです。

流星の絆

評価:星2つ

流星の絆

「流星の絆」は、話の入りがとても面白そうで、どんどんとストーリーに引き込まれました。でも最後の最後、最終的にエンディングは何故?っていう感じに。あまりにも不自然なエンディングでした。
読んでいる途中は本当に面白かった。多少違和感を感じるところはありましたが、次はどうなる、その次はという感じで、なのになぜ、あんなエンディング?!。
あまりにもエンディングの印象が悪く、評価は★2.5の★2つに。エンディングを除けば、★3〜4つはあると思います。

魔球

評価:星2つ

魔球
単行本:1988年07月

魔球
文庫本:1991年06月

題材が散らかりすぎた印象

魔球」はおそらく賛否が分かれる作品だと思います。
当サイト管理人としては、高校野球、魔球、殺人事件、爆発物事件、企業コンプライアンスなど1つの小説の題材としては振り幅が大き過ぎて散らかった印象に思えました。
話が混雑して、すんなりと入ってこなかった。
また最初の人物関係の設定はとても自然でしっくり来たのだが、ストーリーが進むにつれて、こんな高校生いるか??という非現実感が湧いてきた。この小説のおそらく主役であろう高校生、須田武志の人物像に少し無理があるように思えた。

おれは非情勤

評価:星2つ

おれは非情勤
文庫本:2003年05月

おれは非情勤(表紙イラスト違い)
文庫本:2003年05月

サクッと読める、息抜き作品

「おれは非情勤」は、ミステリ作家を目指す小学校の非常勤講師の「おれ」が主人公。6つのミステリー短編のほかにジュブナイル(ティーンエイジャー向け)の短編2作が収録されています。
殺人事件が起きてもあまり緊張感がなくストーリーに山谷もなくサクッと読めます。期待して意気込んでみる小説ではなく、軽い気持ちで息抜きのために読む小説です。
なぜ「非常勤」の漢字を「非情勤」に変えているのか不明。小説を読んでもその意図がよく分からなかった。
さらに追加で収録されているジュブナイル(ティーンエイジャー向け)の短編2作は小学生向けの内容とは思えず、なぜ学研の小学生向け学習雑誌「5年の学習」「6年の学習」に掲載されているのかもよく分からなかった。
小説の内容以外のところに謎の多い作品でした。。

時生(トキオ)

評価:星2つ

時生(トキオ)

当サイトでの評価はパッとしませんが、ほかでは評価の高い一作なので好みの分かれる作品?なのかもしれません。
話の始め(イントロ部)からグッと引き込まれた感覚とは異なり、そのあと読み進める間、現実感と緊張感、そして盛り上がりに欠けるストーリーがずーっと続く展開でした。
エンディングもえっ!終わり?という感じで、筆者から伝えたいものを受け取り損ねた感じで読み終わりました。

眠りの森

評価:星2つ

眠りの森
単行本:1989年05月
文庫本:1992年04月

眠りの森」は東野圭吾の推理小説「加賀恭一郎シリーズ」の第2作にあたる作品です。
1993年、2014年に違うスタッフ、キャスティングでテレビドラマ化されています。時期を分けて2回もテレビドラマ化されるほど人気のある作品ですが、当サイト管理人には正直なところピンとくるものがありませんでした。。
ストーリー展開に起伏がなく、インパクトがない。読み終わってみて、結局のところ何が言いたかったのかという疑問が残りました。
面白い!面白くない!というのは個人的な感想に過ぎないということは理解しつつ、前作「卒業」もイマイチだったので、東野圭吾さんの昔の作品は外れが多い?という感じがします。
東野圭吾さんの昔の作品から最近の作品、最新作を通して読んだら、面白くなり始める(?)時期なんてものが分かるかもと思っています。

超・殺人事件 推理作家の苦悩

評価:星2つ

超・殺人事件 推理作家の苦悩
単行本:2001年6月

超・殺人事件 推理作家の苦悩
文庫本:2004年4月

作家が思うままに書いた趣味的作品

もちろん、どの小説にも作者である作り手の考え、思いが込められて、作家の趣味嗜好が反映されていると思いますが、「超・殺人事件 推理作家の苦悩」はあまりにも作者が思うままに好き勝手に書き綴った趣味的な作品のように感じます。
本作を東野圭吾らしいという方もいるし、東野圭吾らしくないという方もいます。なので本作は東野圭吾のピンかキリか、極端な作品だと言えそうです。
当サイト管理人としては好きな作品ではないです。読んでいる途中で結論が見えてしまう底の浅い話の展開で、無理に辛口ブラックに描こうとしている頑張りが見え隠れしてしまうのも正直、好みではないです。
東野圭吾の作品として、こういった作風もあるのかという作者に対する興味が読むモチベーションですね。

カッコウの卵は誰のもの

評価:星2つ

カッコウの卵は誰のもの   カッコウの卵は誰のもの
単行本:2010年01月

カッコウの卵は誰のもの
文庫本:2013年02月

娘には才能があり、自分には隠し事があった。彼女の幸せを、願っていた。

カッコウの卵は誰のもの
「カエルの子はカエル」 Fパターン、Bパターン・・・優秀なスポーツ選手には典型的な遺伝子パターンがあるというアプローチはとても興味深く、ストーリー序盤で一気に話に引き込まれたが、そのあとの話の展開がお粗末でした。一言でいうと雑。
行動、動機に不自然さがあり疑問符が並ぶので、話にワクワクできない。極めつけは犯人の種明し。
「は?なんで?それはないやろ!」っていう消化不良な感じで、どんでん返しでやられた〜っていう爽快感がまったくなかった。
東野圭吾さんの作品はとても好きなんですが、これは中身スカスカでやっつけ仕事という感じです。
白夜行や容疑者Xの献身といった東野圭吾さんの名作を知らない方にとっては2時間ドラマ的なコジンマリ感があり、それなりに面白く読めるかもしれませんが、自称、東野圭吾フリークにとっては物足りない作品です。

「白夜行」「幻夜」「容疑者Xの献身」みたいな素晴らしい作品に再び出会いたい!

と思わせる少し残念な作品でした。

片想い

評価:星2つ

片想い
単行本:2001年03月

片想い
文庫本:2004年08月

テーマが重すぎるが故に・・・

片想い
「性同一性障害」「トランスジェンダー」といった、とても重く深い、単純な正解がない永遠のテーマを取り上げた小説です。
単行本が出たのが2001年だと、やっと「性同一性障害」という言葉が一般的に知られ始めたころなので、かなり先進的なテーマを取り上げた作品だったのかもしれないが、管理人が読んだ2016年だと「性同一性障害」「トランスジェンダー」について頻繁にメディアなどで情報発信されているため、小説の内容が薄っぺらくチープに感じられました。
登場人物の行動にも共感できず、そんなことするかな?という疑問が邪魔をしてストーリーに集中できませんでした。
さらに重厚なテーマの割に伝えたいことがまったく理解できず、大作が故に退屈な作品に感じました。正直なところ読んでいて退屈でした。

十字屋敷のピエロ

評価:星2つ

十字屋敷のピエロ
単行本:1989年
文庫本:1992年2月

ピエロ目線という手法は面白いが・・・

当サイト管理人の読解力の無さという問題もあるのかもしれませんが、種明しが複雑すぎて種明しを理解することに精一杯になって、ピエロ目線のアイデアがうまく生かさていない印象が残りました。

ストーリのヤマ場を見つけられず

さらにピエロ、警察官を除いても14人という登場人物は多すぎる。人物像が丁寧に描かれていない上によく分からない同居人がいたりして人間関係も分かりづらく、登場人物に感情移入ができないまま、ストーリーが進んでいってしまった感じがした。
そのせいで話に入り込めず、緊張感、ドキドキ感がなく、平坦なまま読み終わってしまったという感じでした。

卒業

評価:星2つ

卒業
単行本:1986年05月
文庫本:1989年05月

卒業 雪月花殺人ゲーム(そつぎょう せつげつかさつじんゲーム)」は加賀恭一郎シリーズの第1作目で、1989年5月に文庫本が刊行され、2009年に新装版が刊行されたときにタイトルを「卒業」に改題しました。
当サイト管理人にとって、本作品は「加賀恭一郎シリーズをコンプリートするため」ということ以外ではあまり意味を持たない作品でした。ストーリーもあまり面白くなく、読むのにかなりの時間を要しました。
30年近く前の作品だからでしょうか、当サイト管理人が知っている東野圭吾の作風とはかけ離れていて、説明がくどい割に読みづらく、とにかく読んでいても情景(シーン)が思い浮かばない。
評価としては★1つに限りなく近く、加賀恭一郎シリーズの全作品を知っておくためだけに読んだという位置づけの一冊でしたね。。

名探偵の掟

評価:星1つ

名探偵の掟

東野圭吾さんの作品はとても好きなので、こんな紹介ページを作っているのですが、正直なところ「名探偵の掟」はつまらない。
12つの短編集なので1話1話が短いので簡単に読めてしまうのですが、何も残らず退屈でした。
「おすすめ!」と言っている方もいるようですが、当サイト管理人にはどこがツボなのか最後まで分かりませんでした。どこかで流れが変わるかもと期待して、とりあえず最後まで読んでみましたが。